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個人情報管理におけるリスクとその対応について

個人情報管理におけるリスクとその対応について

## はじめに
個人情報とは個人を特定できる様々な情報であり、氏名、住所、電話番号、メールアドレスなどが含まれます。企業はこれらの情報を保有する際に、法的要件に準拠し、適切な保護措置を講じる責任があります。
しかし、新たなテクノロジーやサイバー脅威の進化に伴い、個人情報へのリスクも高まっています。また、体制構築の不備や内部的な意識不足も、個人情報管理へのリスクを引き起こします。
本記事では、個人情報管理におけるリスクの類型やそれに対応する具体的な対策について解説していきます。従業員や取引先といった多岐にわたるステークホルダーの信頼を築くために、個人情報の適切な保護が企業にとっていかに重要かを見ていきましょう。

1. リスクの類型と具体例

1.1: データ漏洩のリスク

個人情報を管理するにあたって一番の脅威と感じるのはデータが外部に漏洩してしまうリスクでしょう。この漏洩には大きく分けて、内部的、外部的要因の2種類があります。

1.1.1: 内部からのデータ漏洩

内部からのデータ漏洩は、企業内部で働く従業員が誤ってまたは意図的に個人情報を外部に漏洩させることです。具体的には次のような事例があります。

  • USBの紛失
  • メールの誤配信
  • 情報の不正な持ち出しによる漏洩
  • 情報の故意の持ち出し、売買

2023年においても、自治体の業務の再々委託先の従業員が全市民の個人情報が入ったUSBメモリーを紛失したり、建築関連会社の従業員が転職先に名刺データを持ち出すなど、流出事件が多数報告されています。
これらの漏洩は、ルールの強化だけでなく、監視ツールの導入などで防止に繋げることができますので、対策が不十分と感じる企業はツールの見直しなどを行いましょう。

1.1.2: 外部からのサイバー攻撃

企業はサイバー攻撃の標的となり、ハッカーやマルウェアによってデータが盗まれる危険性があります。例えば、不注意から従業員のPCがマルウェアに感染し、それを契機に悪意あるハッカーによって企業のシステムに侵入され、個人情報に不正にアクセスされる可能性があります。
これらの脅威に対抗するには、ファイアウォールの導入や侵入検知システム(IDS)および侵入防御システム(IPS)の活用、データの暗号化などの技術的対策を積極的に検討しましょう。
また、定期的な脆弱性のスキャンと評価・改善策を実施していくことと同時に、従業員のセキュリティ意識向上のトレーニング実施なども重要です

1.2: データ不正利用のリスク

第三者が不正にアクセス権を入手し、他のユーザーになりすまして情報を利用するリスクがあります。たとえば、パスワード解析ソフトを利用して、他のユーザーのアカウントに侵入し、個人情報を不正に入手する可能性があります。
また、盗まれた個人情報を使用して、詐欺行為や不正取引が行われる危険性もあります。
これらの脅威に対しては、多段階認証の導入や、データの送受信時にはSSL/TLSなどの暗号化通信を使用し、データの傍受を防ぎましょう。また、適切なパスワードポリシーを設定したり、ログのモニタリングと分析を行うことも有効です。
内部対策としては、個々のユーザーに対して最小限の権限を与え、業務に必要なデータへのアクセス権を制限しましょう。定期的なアクセス権のレビューや不正なアクセスのモニタリングを行うことも必要でしょう。

1.3: 体制構築の不備によるリスク

個人情報保護の体制を構築したつもりでも、組織や人選に不備があったり、従業員への周知が徹底化されていなかったりすると、いざ事故が発生した時に、エスカレーションフローが機能しなかったために迅速なインシデント対応が行えず、更に被害を拡大させてしまう可能性があります。
個人情報保護体制図は、作って終わりではなく、組織変更や異動にあわせて見直しを行い、常に最新版にしておきましょう。また、エスカレーションフローも関係者への周知徹底を欠かさないようにしましょう。
また、これらの体制の不備がある企業では、セキュリティポリシーの内容が不十分であったり、従業員への周知教育が不十分であることが多いです。そうすると、従業員のセキュリティ意識不足によって、安易なパスワードの利用や機密情報の不適切な取り扱いが発生する可能性があり、結果的に、外部からの攻撃に対して脆弱な状態を生んでしまいます。
通常業務で忙しい現場の従業員には、Webテストなどの効率的な方法を用いて、セキュリティ教育を行うなどの工夫を講じていきましょう。

1.4: データ品質の低下によるリスク

また、意外と見逃されがちな観点として「どんな情報を持っていて、最新の適切な状態で管理されているか」を軽視することによる品質低下は、企業の事業活動へのリスクに繋がる側面があります。
具体的には、誤った顧客情報に基づいて行われたマーケティング活動が失敗する可能性や、誤った商品情報が提供された結果、顧客が不満を抱く可能性などです。
データ品質の低下は、企業が提供するサービスの信頼性の低下や、顧客満足度の低下を引き起こすため、個人情報管理の観点だけでなくとも、どのようなデータを保持しているのかの全体把握を行うことは非常に重要です。

2. 個人情報流出事故の影響と企業へのダメージ

実際の監査の現場などで担当者の方の話を聞くと、事故後の影響を軽視しているケースに触れることもよくあります。
しかしながら、企業にとっての個人情報流出事故は次のような深刻な影響とダメージをもたらす可能性があります。

・顧客信頼の喪失

例えば、企業が保有していた顧客の個人情報が流出し、悪意ある第三者によって悪用された場合、顧客はその企業に対する信頼を失い、サービスや製品の利用を控える可能性があります。それにより、競合他社への乗り換えや口コミによるネガティブな影響が生まれます。信頼回復には相当な時間と労力がかかります。

・法的問題と罰金

不適切な取り扱いにより、個人情報保護法に違反した場合は、懲役や罰金等の刑事罰に問われるだけではなく、損害を受けた人から損害賠償を請求されるなど、法的責任を追求されることになります。

・企業評判への影響

流出事故が、メディアやソーシャルメディアで大々的に報道され、企業の名前がネガティブなコンテキストで取り上げられた場合には、企業のブランド価値が低下し、顧客やパートナーとの信頼関係に悪影響が生じます。他の企業との取引や提携が難しくなる可能性があります。

・業績への悪影響

流出事故の影響で顧客の離脱や新規顧客の獲得が難しくなり、企業の業績に悪影響が及ぶこともあります。また、事故が原因で業務が停滞し、システムやプロセスの再構築が必要となった場にも、収益の減少などが生じ、企業価値が低下します。これにより、投資家や株主にも悪い影響が及びます。
以上のように、流出事故の影響は、直接損害だけではなく、取引停止、炎上やブランド・評判の低下等の間接損害にも及びますので、これらを考慮に入れて、経営者から全従業員のセキュリティ意識や教育に組み込んで、しっかり浸透させましょう。

3. リスク軽減と対応策

これらのリスクを未然に防ぎ、軽減させるために企業が行うべき対応策の具体例を紹介します。

3.1: セキュリティ対策の徹底

リスクの類型の章でも触れましたが、まずは、物理的、システム的な対策の強化が必要です。データの暗号化やアクセス制御などのセキュリティ対策を徹底し、不正なアクセスやデータ漏洩を未然に防ぎましょう。
また、従業員や外部関係者のアクセス権を厳格に管理し、必要な情報にのみアクセスできるようにしましょう。

3.2: 教育とトレーニングの強化

不適切な取り扱いにより、個人情報保護法に違反した場合は、懲役や罰金等の刑事罰に問われるだけではなく、損害を受けた人から損害賠償を請求されるなど、法的責任を追求されることになります。

・企業評判への影響

流出事故が、メディアやソーシャルメディアで大々的に報道され、企業の名前がネガティブなコンテキストで取り上げられた場合には、企業のブランド価値が低下し、顧客やパートナーとの信頼関係に悪影響が生じます。他の企業との取引や提携が難しくなる可能性があります。

・業績への悪影響

流出事故の影響で顧客の離脱や新規顧客の獲得が難しくなり、企業の業績に悪影響が及ぶこともあります。また、事故が原因で業務が停滞し、システムやプロセスの再構築が必要となった場にも、収益の減少などが生じ、企業価値が低下します。これにより、投資家や株主にも悪い影響が及びます。
以上のように、流出事故の影響は、直接損害だけではなく、取引停止、炎上やブランド・評判の低下等の間接損害にも及びますので、これらを考慮に入れて、経営者から全従業員のセキュリティ意識や教育に組み込んで、しっかり浸透させましょう。

3.3: プライバシー影響評価(PIA)の導入

さらに近年注目されているのは、新たにシステムを導入する際やプロジェクトのスタート時に、プライバシー影響評価(PIA)を実施し、リスクを事前に評価し対応策を計画することで、予防的な対策を講じる手法です。
PIAは個人情報の取り扱いにおける潜在的なリスクを事前に評価できるため、事故や違法なデータ処理を未然に防ぐことが可能です。これにより、法的な問題や顧客信頼の喪失などを回避できます。
また、プライバシーに関するリスクが事前に把握されることで、リスクに対処するための対策を計画的に実施できる点も利点といわれています。
PIAの導入などにより、企業全体でプライバシー保護に対する意識を高め、社内にプライバシー保護文化を醸成することで、組織全体でリスクを軽減していきましょう。

## まとめ
個人情報管理におけるリスクは多岐にわたり、その影響は企業にとって大きな損害をもたらす可能性があります。データ漏洩や不正アクセスといったリスクに対処するためには、徹底的なセキュリティ対策や従業員の教育が不可欠です。
また、プライバシー影響評価(PIA)の導入やプライバシー保護文化の構築を通じて、事前にリスクを評価し、積極的な対策を講じることが求められます。これらの対策を適切に実施することで、個人情報の適切な管理を確保し、信頼を築いていきましょう。

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